- 書名: ダルタニャン物語〈第9巻〉三つの恋の物語
- 作者: 鈴木力衛
- 出版社: ブッキング
- 出版日: 2001-05
- 定価: ¥ 2,100
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レビュー
恋愛小説史上屈指の名場面
ともに国王に恋されるアンリエット妃とラ・ヴァリエールだがラ・ヴァリエールは知恵比べに勝ったため国王の寵愛を得たのだ。「わたくしは自分の手に届くものしか美しいと愛でないのでございます」なんて現代日本のバラエティなら「婚約者ありで既婚者を誘惑」と字幕が出るだろう アンリエットの理屈っぽさ
ラ・ヴァリエールの直感を書き分けているのがデュマのすごい所。
モンタレーもマリコルヌも国王の手引きをして友人の彼女を不倫に走らせた(
「二十年後」でダルタニャンが任務より友の安全を優先したのに対し)
軽薄才子と非難したくも作戦を褒めたくもなる
カルメル会修道院で流石のアンリエット妃にも非の打ち所のない聖女を演じるラ・ヴァリエールに模範的な英雄として国王が求愛するシーンは文学史上屈指の名場面だと思う 純愛でないにせよ王者の魂と聖女の魂が競演し融合していく稀有な精髄の展開なのだから 一般にデュマは通俗とされてきたがこの場面はドストエフスキー白痴に匹敵する高貴な 清らかな(狂気の?)愛だ
フランス版源氏物語?
3つの恋とは、ルイ14世xラ・ヴァリエール嬢、ラ・ヴァリエール嬢xブラジュロンヌ子爵、王弟妃xギーシュ伯爵、でしょうか。他にもカップルがいくつかあります。ダルタニャンの冒険活劇物語をずっと読み進んでいくと、この恋愛編はかなり異色に感じられますが、騎士の戦いの時代から平安の時代への遷り変わりに拠るのでしょう。もちろんこのあとに続くクライマックス・鉄仮面へと物語に伏線はいろいろ仕掛けられています。アラミスが出てきたら要チェックですね。
国王から熱烈に愛されるラ・ヴァリエールはその過分な寵愛と本人の大人しくて無垢な性格によって、宮廷では目の敵にされます。太后、王弟妃、王妃の3人の女性によって追放されるところなど、まんま『源氏物語』でしょう。彼女が国王を慕うのは‘策略によって’と人物紹介にありますが、どんな策略があったのか、本文を読んでも今ひとつよくわかりませんけど。
ポルトスの奇人怪人ぶりと、ダルタニャンとの掛け合いにいつも笑わせられます。アトスは本作には姿を現しません。
華麗なる宮廷の恋
四銃士の出番もなく、宮廷の色恋沙汰に終始したお話は、いささか退屈です。私はこういう粘着質の恋愛話は苦手なのです。
しかし、いろいろな立場から生じる悩みやたくらみなどはただの愛憎劇では無い…ということでしょうか。
貴人の気まぐれに少々うんざり。
でもがまん…。
秀逸
登場人物の多さ、情景の描写などに、やや間延びしたような所はあるが、やはり伏線や宮廷内での駆け引きなど、流れるようなストーリーは秀逸。
個人的には、前の二章の方が好きだが、デュマファンとしては読まざるをえないでしょう。じっくり時間をかけて読んでください。ここを理解してこそ、次巻の読解に、ひいては最終巻の味わいがより深くなります。
