亜智一郎の恐慌 (創元推理文庫)

レビュー

雲を見ながら

 1997年に双葉社から出た単行本の文庫化。ちなみに2000年には双葉文庫にもなっている。
 1992-97年に書かれた7つの短篇を収める。いずれも、亜愛一郎の祖先である亜智一郎を主人公としたもの。江戸時代、それも家定、家茂が将軍であった幕末が舞台となっている。そんななかで亜智一郎らが隠密的な活躍をしていく。
 ミステリというよりは、時代小説にちょっと謎をからめたという感じ。推理小説を期待して読むと、肩すかしを食らうかも。
 登場人物がいずれもユニークで、のほほんとした味わいがある。忍術を使ったり、大力であったり。ただ、個々の能力を生かし切れていないような。そのあたり、時代小説とミステリの狭間で苦しみ、消化不良に陥っているように思えた。

亜愛一郎の先祖

とぼけた味が魅力の探偵、亜愛一郎の祖先が、
幕末の頃に活躍する短編集です。

歴史ものとしても、割とカッチリと書かれていますし、
あいかわらずの亜さんの活躍に、シリーズのファンの人なら、
楽しめる一冊だと思います。

ただ、亜探偵シリーズは、謎解きが、牽強付会的で、
推理を楽しむというより、キャラのとぼけた味わいと、
作者の蘊蓄を楽しむ、という感じなので、
本格ミステリーを期待すると、ちょっと、物足りないかもしれません。