深沢七郎集〈第4巻〉

レビュー

『庶民』の実体(態)に唸ります

『庶民列伝』

《理性や合理性で世の中が動くと思ったら大間違いなのである》ということをよおく教えてくれる小説群です。

「庶民、庶民」とよく使われることばでありますが、「果たして『庶民』の実体(態)とはどのようなものなのだろうか」と誰もが思うはずです。

この作品群には「ハイ、コレですよ」と深沢先生の解答が示されています。

ガリレオになった心地で作品をモノされたかどうかは不明ですが・・味のある短編群であることはまちがいありません。

『盆栽老人とその周辺』

著者が実際に経験したことなのでしょう。「お金持ちの小説家が移転してきた・・」とその土地の人々はカッテに思ったのでしょう。

そのカッテな思惑の中、移り住んだ土地の人々との間で生じた盆栽をめぐるチョッとした事件が取り上げられてまいります。土地の祭りのこと、選挙のこと、盆栽の会をつくることなどなど・・

『庶民列伝』の実体験版といえそうな作品です。

「やはりどう考えても、世間は、理性と合理性では回っていないのだよ。なにせ『庶民』が動かしてるんだモン」と言わざるを得なくなる作品です。