- 書名: 独逸日記・小倉日記 ちくま文庫―森鴎外全集〈13〉
- 作者: 森鴎外
- 出版社: 筑摩書房
- 出版日: 1996-07
- 定価: ¥ 1,470
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レビュー
ドイツの賑やかな青春、小倉の地味な暮らし
鴎外のドイツ時代の日記、と来たら誰でも「舞姫」のエリスの姿を探すことだろう。だが周到に削除されているのか、あるいは本当に何もなかったのか、それらしき姿は全く見ることができない。とはいえ、この日記に表れている若き林太郎くんの旺盛な活動ぶりを読んでいるうちに、そんなのぞき見趣味的問題はどうでも良くなってくる。本業の研究や軍務や色々とあるのだろうに、関係ない論文を書いていたり、英語や仏語を学んでいたり、観劇だピクニックだと遊び歩いていたり、果てはナウマン(ナウマン象で知られている人です)に論戦を挑んだりと、実に忙しく賑やかな毎日。日本人同士の付き合いも多い。当時ドイツに滞在していた日本人の数は、現代の我々が思うよりもかなり多いようだ。一方、十数年後の小倉時代の日記は一気に地味で単調な内容になる。感想等はほとんどなく、むしろ日誌に近い。そのくせ骨董品や古い墓地のこととなるといきなり詳細に書き連ねていたりするのが結構おかしい。
