舞姫,うたかたの記,文づかい (一友社名作劇場 3)

レビュー

親しみやすい現代語とシンプルな絵

「舞姫」「うたかたの記」のコミックス版が出たときいたので
とりあえず買ってみることにした。
ゴージャスで繊細なタイトルとイラストは歴史少女マンガが
好きな人たちの心をくすぐると思う。
さて内容だが、「舞姫」「うたかたの記」「文づかい」が
とりあげられ、3作品とも違う漫画家の方が描かれている。
セリフはすべて現代語に訳されていて、古文が苦手な人達にも
親しみやすく物語の世界に感情移入しやすいと思う。
3人の漫画家さんともすっきりとしてシンプルな上手い絵だか
19世紀の西洋が舞台なのでもう少し、ゴージャスでも良いのでは?
これはこれで良いのだけれど・・・・・。
個人的にも年代的にも、池田理代子さん・大和和紀さん・原ちえこさん
牧村ジュンさん・いがらしゆみこさんなどの絵で読んでみたい。

エリート、でもヘタレ男。

森鴎外の三作品の漫画版が収録されている本書であるが、
やはり筆頭の「舞姫」が素晴らしい。
エリート街道を歩んでいた男がドイツへ行き、
ベルリンでとあるバレリーナと出会って云々……というお話。
描いた人に力量があるだけに、エリスちゃんの可愛らしさが尋常ではない。
甘いロマンスと、この上なく地味なバッドエンドの対比がたまらない。

三作全てに言えることですが、
悪女のみならず貞女も男を翻弄するものなのですね。

間違いなく名作

ドイツ人少女と日本人の青年との出会いと別れを描く三編が収録されています。

「舞姫」の舞台はベルリンで、絵柄が少女漫画らしく繊細で、とても綺麗でした。
話の筋はご存じの方も多いと思いますが、主人公の青年は、ひとりの人間としての恋愛感情と、国家のために働かなければならないエリートとしての立場との板挟みになり、苦悩します。
出した結論はいただけないですが、今でもこういう悩みは変わらないな〜と共感しながら読めました。

「うたかたの記」は、とにかく絵が丁寧で、マリイという少女が大変魅力的です。
昔は貧しくてすみれの花売りをしていたマリイは、今は美しいモデルに成長しています。
花売り時代に助けてくれた日本人青年の巨勢と再会し、幸せになれるかと思いきや、国王との暗い因縁がよみがえり…
叙情詩のように美しく、はらはらできる作品でした!

「文づかい」は森の中のお城が舞台で、悩めるお姫様の物語です。
結婚を強制されて苦しみ、仕事を見つけて結婚しないで自活する道を選ぶ…
現代の女性の悩みと変わっていないと思います。

森鴎外という作家は有名ですが、作品を読んだことはないな、と思って読んでみたのですが、古くさくなく、とても面白かったです。
三作とも絵が綺麗で読みやすかったです。

こんな話だったのか…

国語の教科書で「舞姫」を読みましたが、古文のようでほとんど理解できず、どんな話かわかっていませんでした。
カバーに惹かれてこちらの本を買い、はじめて「舞姫」のストーリーを理解できました。
あんまり気持ちのいい話ではないですが、異国情緒たっぷりで、
最近のマンガにはあまりない、高級感というか、深みが味わえました。
それに、有名な話なので、筋だけでもおさえておくと役に立ちそうです。
「うたかたの記」と「文づかい」は、こんな話があったことも知りませんでした。
絵柄がユニセックスな感じなので違和感なく読めました。
こちらも楽しい話ではありません。
文学などが好きで、どっぷり作品世界に浸りたい方におすすめだと思います。
森鴎外の原作もちょっと読み直しましたが、やはり意味がわからず、マンガで読めてよかったと思いました。

分かり易い

森鴎外がドイツに行った経験をもとに書いた3つの作品。
原作は3つとも文語体で書いてあるため、文語に馴染みのない者にとっては難解さが先立ち、内容に深く立ち入ることができない。本作品ではうまく噛み砕いて分かり易く表現している。
画力に目をつむれば星5つ。
本作を読んでいいと思った方には、原作及び「秋の舞姫(関川夏央, 谷口ジロー)」をおすすめする。