井沢元彦の英雄の世界史 (廣済堂文庫 イ 11-1)

レビュー

痛快なる英雄伝

英雄とは「多くの人々を動かし歴史を変える者」という定義が成り立つのだとすれば、この本に登場する英雄の数だけ歴史が動いてきたと言える。そんなことを思いながら読んでいくと、英雄たちが作り上げてきた“世界史のアウトライン”がより身近に感じてくる。
人類社会の仕組みがシステム化し、個人の全体に果たす役割が減少した今日において、今の閉塞した時代を変えてくれる英雄の登場は難しいかもしれない。だからこそ、このような英雄伝は痛快に感じるのだろう。

読みやすい

井沢元彦さんの作品と言うと、日本史がほとんどなのだが、逆説の日本史でも散々述べられている通り、日本史だけという狭い視野にとらわれず、グローバルな視点で歴史を書いています。この著書は世界史に出てくる有名な英雄について書かれているが、井沢作品は相変わらず分かりやすいし、読みやすいです。文章が上手いのでしょう。歴史本初心者でも軽く入っていけます。それぞれの英雄について5ページ程度で書かれていて、さくさく読める。個人的にはサラディンや岳飛のところがよかったです。もちろんシーザーとかアレクサンドロス大王、朱元璋や織田信長などなど、全部良かったんですが(笑)。あと、三国志の英雄(曹操、劉備、孫権)のところなんか、「三国に分かれたんだから、こいつらはみんなたいしたことなかったんだろう」というところは、なかなか辛らつで笑えました。歴史に少しでも興味のある人にはぜひおすすめの本です。