- 書名: チョコレート革命 (河出文庫―文芸コレクション)
- 作者: 俵万智
- 出版社: 河出書房新社
- 出版日: 2000-01
- 定価: ¥ 500
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レビュー
書き込みもなく、いい状態でした。
綺麗な状態でした。9年前の本にしては、良い状態でした。
ビタースゥイートの反旗
俵万智さんの大ヒット「サラダ記念日」。私は全く感じなかった。けれども「チョコレート革命」には私は感じた。「大人の返事する君」に「チョコレート革命起こす」万智さんの「恋心」と「もがき」が。
惚れた男に妻子がいたら不倫は必須。不倫はいけないとわかって恋する女の惚れた男への反旗を翻すにはは「甘くほろ苦い」=「ビタースゥイート」のチョコレート語でしか描けまい。倫理観をぶっとばしてもこの万智さんの思いへの共感が先に立つ。俵万智さんのファンになった第一作であり、短歌を真似して作った最初の一冊です。最後に言い添えたい。短歌は道徳本ではない、ということを。
どーなのよ、これ
学生時代に読んだ時は、ありありと詠んでいるなー、なんて思ったものだけれど、今になって読み返すと、「なんかかぶれてるんじゃないか、この人?」と思ってしまう。この人は色々短歌の評論本も出しているけれど、たくさんの伝説的な女歌人を知っていくうちに、自分をそういう人たちと重ね合わせてしまっている、というか…。たとえば与謝野晶子や中城ふみ子なども不倫の歌でその地位を確立したものだけれど、この人の不倫歌は到底先代たちのものには及ばない。気障だけれど、正直に言って歌そのもののレベルが違う。晶子やふみ子の歌は、歌わなければ病んででもしまいそうな、誰にでも向けられたものでもないような発散的なところがあると思う。でも、俵万智のこの歌集の中の歌は、およそ、大衆に対して、「私はこんな恋をしてるんですよ」と大っぴらに「見せつけて」いる感じがする。誰かに不倫の事実を知ってもらいたくてたまらないといった感じ。
あまりにも歌が説明的である。前のレビュアーの方が書いていた「お父さん」の歌といい、「泥棒猫! 古典的なる比喩浴びてよくある話になってゆくのか」など、その典型。
不倫をするということが良いかどうかは別として、もっと違った表し方はなかったものか?と思ってしまう。
ああ、チョコレートは溶解す。
この蕩けるような感情の発露。爛れた恋の道行。それが「チョコレート革命」と名付けられるや、なんだか甘くて可愛らしく許せる恋になってしまう。言葉とは、そして詩とはかくも摩訶不思議なものと思わざるを得ません。大人の恋とはとても思えぬ少女っぷりが、万智先生の真骨頂。不倫の名には程遠い穢れなく純粋な恋愛物語。すきだから、だから抱いて。奥さんがいたって気にしない。私は私。ひとりで稼いでひとりで生きてる。そっちの方がラクだもん!実に気楽でいいですなあ〜・・働く女性は実に自己主張があっていいもんです。
嘗て不倫は道ならぬ恋でありました。しかし現代では大手を振って表通りを歩いて渡ります。奥さんがいたってカッコいい男はカッコいい。そりゃあそうなんですけどね、しかし奥さんの気持ちってものもありますから。アンタが幸せでもこっちは不幸って事もあるわけで。まあ、ウチのダンナがいくらイイ男でも、そうそう活字にして詩にしてもらってもちょっと恥ずかしい?
しかしまあ、いい歌書いてます。言葉が濡れてますね。欲情しちゃて嫌味がない。ブーゲンビリアの花束の如く優しく艶やかに、シャネルの泡の如く香り豊かにロマンチックにそして清潔で且つ官能的に、そして焼肉の如く庶民的。それが我が平成の与謝野晶子、俵万智ちゃんの詩集です。

