画集 銀河鉄道の夜

レビュー

夜の銀河の光きらめく画集

 幻想的な物語、賢治の『銀河鉄道の夜』の語り手、ジョバンニの視点で描かれた風景画集。

 星がきらめくその下で、紫のりんどうの花、白いすすきの尾花、赤い蠍(サソリ)の火、その他もろもろの風物がぺかぺかと瞬き、キラキラと光っている絵の数々。真っ暗ななかで本を開いても、景色が光って見えるんじゃないかってそんな気がしたくらい、絵の中の光が綺麗でしたねぇ。一枚、一枚、頁をめくるうちに、夜の銀河鉄道に乗車した旅人の気分に包まれました。

 私の中の『銀河鉄道の夜』はもっと暗くて、怖いようなところがあるのですが、KAGAYA氏が描いた『銀河鉄道の夜』の風景は、様々な光に満ちあふれていて、本当に美しかったです。
 また、「時計店」や「誰もいない待合室」の絵では、しんと静まり返った夜の雰囲気が見事に表現されていて、惚れ惚れさせられました。

 この画集が予想以上に素晴らしかったので、KAGAYA氏のほかの画集とか出ているのかなとネットで検索していたら、氏のホームページになるのでしょうか、『KAGAYAギャラリー』という場所を見つけました。この画集に収められた三十二点のうち、「旅立ちの渚」「星めぐりの旅」「銀河へ続く道」「秋の軽便鉄道」「北十字」「蠍の火」「サウザンクロス」の七枚の絵は、そこで見ることができます。

圧倒的な画力

 一言で言います。素晴らしいです。
 ページ数が少ないのに値段が高い、というのは私も思いました。しかし実は印刷代でそうなったのだろうと思います。絵があまりにも高精細だからです。
 具体的な中身の話に移ります。絵のタイプとしては現実世界の延長線上にあると言えば分かるでしょうか。現実世界の素晴らしさに夜という具が加わり、圧倒的な世界観を描き出しています。
 絵に手抜きは全くありません。むしろあら探しをすればするほど手抜きの無さに感動を覚えます。自然も建物も驚くほど美しく書いています。それでいて非現実ではありません。
 悲しいことに言葉では言い表せません。無責任に「買え!」とも言えません。とにかく、本屋に行く機会があったら、とりあえず本を開いて見てください。かめばかむほど味の出る、素晴らしい画集です。