ドリームバスター(4) (リュウコミックス) (リュウコミックス)

レビュー

敵のモズミは主役級

プロローグでカーリンという田舎娘が現れますが、
彼女は実はすごい親戚がいて、その親戚に会いにシェンの(マエストロの)元を
訪れます。結局会うことは叶わなかったのですが
彼女の目的はそれだけではなかったので、半分失敗というところでしょうか。

さて今回敵となる逃亡犯・モズミは、その昔人殺しを生業にしていた
殺し屋でしたが、その存在が忘れられるようになってからは
小説の主人公として、義侠の風来坊という認知をされています。
あながち外れていないのは、そのモズミが取り憑いたタカシという少年に
肩入れしているということ。主人公・シェンもそのモズミの大ファンなので
憧れの存在であり忌まわしい逃亡犯であるという現実に対して複雑な感情を抱いています。
一方、地球側ではセニョリータこと村野理恵子がタカシ少年の現実問題を
解決するために奮闘します。そこで不意に訪れる"最凶の存在"との邂逅。
シェンは、というとモズミに完敗してしまったためエムリンの元で修行に励み、
再びモズミと戦うことになります。
モズミはタカシを救いたい。
シェンはモズミを新たな人生に導きたい。

この巻でのテーマは"人生の転機"です。
モズミ、カーリン、パーカー、…、
これまでの人生を捨てて自由に。
それを求めるために彼らは戦う道を選んだのでしょう。

面白いんだけど。。

前作から間が開きすぎ。
私は記憶力が乏しいので
新作が出る度に、前作を読み直さなくてはいけないです。

それから、未解決事件が多すぎ。
伏線をひきたいのは分かるけど
ひとつ、ひとつ解決していって、その上でストーリーを続けて欲しいです。

宙ぶらりんが多すぎます。
キャラクターも好きだけど、読後のすっきり感が全くありません。

宮部さん、大好きで本は全て買って読んでいます。
大大ファンだからこそ、このまま中途半端な展開は嫌です!!

おもしろいけどあんまりです

「時間鉱山」の話はなかなかよく出来ていて、引き込まれ、楽しめました。ですが宮部さん!あまりに引っ張りすぎがひどくないですか? 2001年発行の1巻の最後の、「人造人間リップの謎の失踪」の続きはいつまで待たされるのですか。もう7年以上たちますよ。彼が「実験の器」なのでしょう?こんな本質的に重要な伏線なのに!でも他にも宙ぶらりんのエピソードがいっぱいあるのでいったいいつ触れられるのか不安です。2巻からは5年待たされていますが「柿本の脅威から理恵子を守るためにマエストロがアンカーを理恵子の手首に付けた件」(関連して「理恵子の見た赤いドレスの女について」は?)があります。あれだけ思わせぶりだったのですから柿本は何かしかけるのでしょう?きちんとフォローしてほしいです。また「反DB組織に利用されたスピナーの件」も宙ぶらりんです。妹に書いた手紙が届いていなかった謎、どうやって、そしてどこに消えて、何をされて病院で廃人のようになっていたのか?反DB組織の実態とその狙い(陰謀)は何か?スピナーはこれからどうなるのか?など放りっぱなしです。また3巻冒頭から消えて、どこにいるか何をしているのかどうなってしまったのかミステリアスに不明な「元DBパーカーについて」も。(その身に何が起こったのか?何か健康以外にも含みがありそうだけどどうつながるのか?)その上に4巻でユキオはどうなったか?が加わります。(これはさすがに5巻で語られるのでしょうけど)5巻自体が出版社によれば「年内(2008年)はまず発行されない」と4巻から1年以上間隔があくことを考えると、このような長期間(10年くらいのものもある?)前の伏線を覚えていろと要求するのは作家に許されることなのでしょうか?おもしろいから全10巻以上のスケールの大きな話にするのもいいけど引っ張るのはせいぜい3年以内くらいにしてもらわないと忘れてしまいます。頼みますよ!

難しいけどおもしろい

 設定がややこしくて新刊が出るたびにどうだったかな?と思い出すのに苦労します。ファンタジーなのに現代の日本人が出てくるのが生々しい感じがします。また薄気味悪い場面は感覚に訴えてきて鳥肌物です。
 このシリーズでとても気になっていることがあるのですが、シェンに対して「おてんば」とか「はねっかえり」といった言葉が使われていますが、まさか大作家宮部みゆきが間違えるはずもなく・・・。シェンはもしかして女の子なのでしょうか??
 数々の謎がでてくるのですが、物語の結末ですべて明らかになって「ああすっきりした」と思って終わりたいものです・・・

一つの死生観

 宮部みゆきさんの小説は甘い小説の中にも、とてつもなく苦い薬が隠されています。
 ドリームバスターが数多あるライトファンタジーに見せかけられていても、きちんと薬は含まれていて、本の世界を旅してきた人たちにまだまだたくさん世界は広がっていることを指し示してくれます。中学生や高校生の頃にこんな小説に会いたかったなぁ。今でも遅くはないんだけどね。

 ドリームバスターも4巻に入りました。3巻からの続きものという点はちょっとマイナス点ですが、登場人物や前書きで最低限のフォローはできています。
 時間鉱山に紛れ込んでいる3人の日本人は生と死の狭間にいます。それぞれが死に至ろうとしている理由は違いますが、シェンはどうにか助けようと試みます。他人から見るとつまらない原因で死を選ぼうとしていますが、それを単純に否定するのではなくゆっくりと生きること、死ぬことを描いています。この視点は丁寧で好きですね。

 個人的にはハードカバーでなく文庫などで気軽に手に入るようにして欲しいです。