世界の宗教と戦争講座 (徳間文庫)

レビュー

国際社会において日本人は大丈夫か?


日本人は「和」の精神からくる無原則な話し合い至上主義。
この精神は仏教的や儒教的な考え方から来るものではなく日本独自のもの。
聖徳太子の十七条の憲法の第一条にも「和を持って貴しとなす」にも現れる。
「和」はこのように古来からあった精神で、中東〜西洋の宗教との違いは、
唯一絶対信仰の「神」が存在しない独自な精神である。
「和」は使い方を誤ると最悪の場合、人権をも否定してしまう。
(そもそも「和」には人権という考え方が無かった)


ユダヤ教〜キリスト教〜イスラム教では「人間は被造物である」という
考えがあるので、毛沢東崇拝・金正日崇拝のような個人を崇拝という
考えもない。また、死刑廃止論も日本ではその罪が本当に死刑に値するかとか
死刑人が無実だったらどうするのか、が論点になるが、
神を唯一の信仰とする精神では、(所詮神によって作られた)人が
人の死を決めるような権利をもっているのかが論点になる。


このように、明らかに考え方に違いが生じていることがわかる。
国際的な社会で生きていく日本人は、どこまでこのような背景を
わかった上で海外の人たちと付き合っているのだろうか。
無知の知またも考えさせられる。

わかりやすい内容ですが

 平易な文章で読みやすい文章ですが、著者の略歴を調べると、すべてを鵜呑みにすることはできないと思います。少し、個人的な主観も強い印象もあります。
 

世界の文化、宗教、思想をざっくり押さえるのに◎

ユダヤ教、キリスト教、イスラム教、仏教、神道、儒教の6つの観点から、世界を俯瞰する。

日々テレビや新聞から伝えられる世界のニュースは、それだけでは個々の出来事にしかすぎないが、各国の文化や思想、民族のルーツについて頭のなかにおおまかな地図をもっておくと、それぞれの出来事の関連がみえてくる。たとえば、ドイツ軍のユダヤ人虐殺と、シェイクスピアのベニスの商人は、『数千年に渡るユダヤ人差別』という観点で同列のものとして理解することができるという。

本書のテーマは世界の主な宗教への理解を深めることではあるが、常に世界史のバックボーンにあった宗教をキーにしたことで、膨大な世界史を大きないくつかの塊、全体像として捕らえることに成功している。これまで断片で理解していたものが、すっとひとつにまとまって腑に落ちてくる感覚があった。細かい点については異論があるとも思うが、短時間で全体像を押さえたい方にお勧めしたい。世界史を勉強中の中高生諸君もぜひどうぞ。

宗教間の争いの根源がわかる本

日本人の原理が「和」であるとして、その功罪を論じています。

なぜユダヤ人が差別されているのか。
なぜヴァチカンはホロコーストを謝罪しないのか。
なぜユダヤ教徒がイエスの子を神と認めないのか。
なぜお経で霊を鎮めることができるのか。
なぜ日本人は契約下手が下手なのか。
なぜ日本人は自衛隊を軍隊と言い張るか。
など多くの疑問を解消することができます。
宗教間の深い溝を垣間見ることができる本です。

知ってると知らないでは大違い

世界の宗教の名前は知っていても、カトリックとプロテスタント、スンニー派とシーア派の違いは知らない、という人がほとんどではないでしょうか。
今まで、どの地域ではどの派だとかを地図上で見ても頭に入らなかったのが、この本を読んで頭に入りました。今後も混同することのないように整理されて。

そして、この本を読んでからローマ法王の死去とその後のコンクラーベの報道がありましたが、そのことが良く頭に入りましたし理解できました。

仏教の項は、著者の「逆説の日本史」で書かれてることの繰り返しになってるキライがありますが、それを抜きに、世界の宗教を理解し頭の中を整理するには格好の書です。