最後の息子 (文春文庫)

レビュー

ちょっとおもっくるしい雰囲気

短編が3本。
表題作は、吉田修一さんが描く、どんよりした雰囲気のお話。
うっとしい感情の心理描写がうまい。
このちょっとおもっくるしい雰囲気好きです。

他2編は比較的ストレートな青春モノ。
このような話も書けるのかー
特に「Water」が良かった。感動しました。

はじめての吉田修一

最後の息子 破片 Water
三篇の作品が収められている
三篇ともかなりテイストの異なった作品だなというのが
第一印象だ。
「最後の息子」
ビデオ映像を通して語りかけてる部分が斬新であり
最初入り込めなかった部分でもある。おかまとの生活、実家での様子
昔の恋人との再会。
たゆたう主人公の生活、長くはは続かないであろう一つの季節を描いている。
「破片」
父親と息子二人、弟は地元に残り家業を手伝い後継者となって行くのだろう。
兄は東京でフリーターのような生活をし女と生活している。
二人の母親は亡くなっており、そのことが二人の兄弟に特に弟の人生に深く
影を落としており、女性に対する偏執的な行動を引き起こしてしまう。
「Water」
まっとうな高校の水泳部を描いた、青春小説おまけにラストは爽やか。
こんな作品が収められてるとは、ちょっと意外だった。
しかしながらこの作品の中でも息子亡くした母親が登場してくる。
初めてこの作家の作品を呼んでみたけど、いまひとつまだ理解してないとういうか
なんと言ったら良いのかよくわからない部分がある。まあこれから幾つか他の作品
も読んでみれば何かわかってくるかもしれないな。
今回読んだ三作品に関しては母親に関する部分で、何か共通する部分があるのかもしれない
なんて思ってもみたりした。

受け入れてもらえない者と受け入れなければならない者

「最後の息子」「破片」「Water」を収録した短篇集です。受け入れてもらえない者と、受け入れなければならない者とが、それぞれ持つ苦しみ。苦しみの矛先は、一体どこへ向いているのでしょうか。


「何かを始めるときの自分が、一番臆病で、そして一番勇敢だ」

うーん、歯ごたえが・・

固定された生活が地道に積み上がる。大きな変革はない。
大きく日常から逸脱する気もない登場人物たち。
思わせぶりなコンポーネントが転がされる割には
中途半端にしか拾い上げられないので、すかっとした爽快感はない。

古い言い方をするならデカダンな中性小説。
ビネツ状態のような日常のタレ流しが、妙にこじゃれた、
小難しいレトリックと言い回しで遊ばれる感じ。

川上未映子や斎藤美奈子の文章が、きれっきれのシゲキに満ちた灼熱のステーキなら、
この小説はぐたぐた煮詰められた、味付けのないおじやでは・・
というのが、あたしの正直な感想。

これが原点だと言えるのでは??

著者の作品を色々読みながら、エッセンスの凝縮の仕方やキャラクター設定など他の作品よりも感度が高く、今尚この作品は秀逸だと思う。