知恵伊豆に聞け (文春文庫)

レビュー

最後の戦 島原の乱

 松平伊豆守信綱は若年のころから家光に仕え、誠実さで主人に認められ、機知で主人の出す無理難題の解決や、仲間の間の小さなイザコザ、はては最後の戦となる島原の乱までをうまくさばき、誰からも頼りにされた老中だった。
 かせになっている糸の長さを短時間で測る、主人が能を堪能するために一晩で庭に白壁をめぐらす。
 といった頓知のような出来事のほか
 後は200年以上、戦がなくなる最後の戦「島原の乱」の総大将も勤めてみせる様子を盛り込んだ、松平信綱の生涯を描いた作品。
 徳川家光のころのまだ戦の名残が残る江戸城の様子や、まだ若い幕府の黎明期の生き生きとした様子が楽しい本でした。
 松平信綱は民事の裁判まで手にかけていたというのがまた面白かったです。

松平信綱

解説にもあるように信綱の史料が少ない中大変面白い作品にできている。知恵伊豆という題にしては「知恵」の見せ所が少ないように感じるのはやむを得ないか。通産154作品目の感想。

松平信綱が主人公です。

松平信綱もの唯一の文庫です。単行本は実業之日本社から出ていますが、実業之日本社は文庫を取り扱わないので文藝春秋からの発行です。世に知られた松平信綱のエピソードは余すところなく収録された小説です。この小説を軸に他の人物に興味を持つかもしれない面白味も秘めています。内容は単行本と同じです。