- 書名: 神かくし (文春文庫)
- 作者: 南木佳士
- 出版社: 文藝春秋
- 出版日: 2005-04
- 定価: ¥ 520
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レビュー
どんどん回復しているのがわかる
著者の病気については他のカスタマーが記載しているとおりなので割愛。この著者の本は文庫が出れば購入して読んでいるが、精神を病んでのどん底から少しずつ回復して来ているのがわかる。前回は旅行に出ることができ、今回は遠くに散歩にいけるようになっている。回復の過程でこんなこともできるようになったといった喜びが伝わってくる。
そういった回復の経過を、医者という視点と患者という視点が同居していている著者の記述で知ることで、「不定愁訴」という病名の無責任さもわかるだろう。
鬱の人に読んでみてほしい 
作者は、鬱病と共に生きる長野の医師であり、本書は5編からなる短編集である。鬱病が重度になると自殺願望が生じることがあるが(作者、レビュアーも体験者である)、そのような人間にとっては「自殺されちゃった僕」(これは自殺願望を助長する作であると私は感じる)など周囲の人々の著作より、心に沁みる作品であろう。
長野の時には美しく、時には厳しい自然の描写の中、妻とのいつもの散歩の途中で我知らず自殺願望が心をかすめ、さらに山奥に踏み入ろうとして妻にそれを阻止されるシーンなどはっとさせられる場面もある。
なにより、作者の心の揺れや出来事に対する感じ方などに、同じ心の病を持つ者として共感する部分が多く、このことは「死ぬな!」と言われることことより、心の平安をもたらし、もしかしたら生きていく力になるかもしれない。
ポジティブに生きることだけをよしとする人にとっては、歯がゆいと感じられるかもしれないが、鬱の人には一読を勧める。病状には差異があるから、もし、自分に合わなければそこで放り出せばよいのだから。作者は、それさえもわかっていると思う。
五編中、「火映」については、作者の伝えたいことがうまく表現できていないように思われるので、残念ながら星4つとさせていただく。
鬱の人に読んでみてほしい
作者、南木佳士は鬱病と共に生きている医者であり、本書は五編の短編集である。鬱病が重度になると自殺願望が生じることがあるが(作者、レビュアー含む)、鬱病の者にとっては、「自殺されちゃった僕」(これはレビュアーにとっては自殺願望を助長すると感じられる作)など、周囲の人が著したものより、心に沁みる作ではないだろうか。病状により差異があるので一概には言えないが、心に病を持つ者の一人である私にとっては、作中にある作者の心の動きなどに共感する部分も多く、心の平安を感じることができた。自分のほかにも同じような感じ方をする人がいるということを感じることは、病を持たない人に、一言「死ぬな!」と言われることより、我々には大切にしたい体験、貴重な瞬間、もしかしたら、生きていくために必要な力を与えてくれるものなのだ。
ただし、「火映」は作品として作者が伝えたいことが散漫になっているように感じられ、残念ながら星4つとさせていただきたい。
