凧をみる武士―宝引の辰捕者帳 (文春文庫)

レビュー

江戸の風物

 1995年にNHK出版から出た単行本の文庫化。『鬼女の鱗』、『自来也小町』につづく、「宝引の辰捕者帳」シリーズの第3弾。
 4篇が収められている。
 ちょうどNHKでドラマ化された頃の出版らしい。それもあってか、辰がわりと前面に出てきたり、子分の算治の過去が語られたり、キャラクターへの重視が見られるようになっている。
 物語としては、どれも水準作だが、これと光るものはないように思った。複雑な筋立てのわりには、ちょっとなあというものが目に付く。
 とんぼ玉とか凧とか、小道具の使い方が上手い。
 シリーズとしてけっこう書きつづけてきて、ひとつの転換点に来ているのかなあ。