鬼女の鱗―宝引の辰捕者帳 (文春文庫)

レビュー

見逃して

1988年に実業之日本社から出た単行本の文庫化。
 「宝引の辰」を狂言回しとした「捕者帳」。7つの短篇が収められている。
 下町の人情がメイン。
 物語の語り手や登場人物がどんどん変わっていく。そこに味わいと目新しさがある。また、前の話の登場人物がふっと出てきたりするのも効果があって面白い。
 「目吉の生人形」が面白かった。物語の仕掛けにビックリさせられる。
 「鬼女の鱗」の人情も素晴らしい。
 全体としてトリックは弱いが、味わい深い一冊だった。