- 書名: 白虎隊 (文春新書)
- 作者: 中村彰彦
- 出版社: 文藝春秋
- 出版日: 2001-05
- 定価: ¥ 746
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レビュー
白虎隊の史実に迫る画期的な一冊(その後に残るもの)
会津の戊辰戦争について、明治から現在に至るまで、最も人口に膾炙したであろう「白虎隊」。そこでいう「白虎隊」とはもっぱら飯盛山で集団自決した十九人のことであり、せいぜい奇跡的に蘇生した飯沼貞吉を含めるかどうかという範囲の話であった。しかし、そもそも「白虎隊」とは鳥羽伏見の戦を受けて薩長新政府軍を迎え撃つ会津藩が軍制改革によって新たに編成した、16・17歳の少年からなる部隊の呼称である。自決したのは、その中の士中二番隊の、さらに一部の少年たちであった。
では、それ以外の白虎隊士はどうしたのか。著者は資料を丹念に駆使しつつ、会津戦争における白虎隊士の足跡をたどっていく。こうした白虎隊の史実の全体像に迫ろうとした類書は、管見の限りでは見当たらない。確かに「画期的作品」と言えよう。
ただし問題は残る。「白虎隊が日清・日露の時代から太平洋戦争期にかけて、国家に利用されたことは否めない」と筆者は述べる。その通りである。だが、それだけではない。
白虎隊は、「賊軍」とされ、蔑まれた旧会津藩士の名誉回復・地位向上の手段としても利用された。とりわけ昭和期、「白虎隊精神」は「日本精神」として高唱された。国家によってだけではない。会津人自らによっても、である。1945年は、会津にとっては2度目の敗戦の年であったのだ。しかし白虎隊の語りは、「日本精神」と切り離されることによってほぼ無傷で生き残り、飯盛山や鶴が城、復元された会津藩校日新館で今も反復されている。
それでいいのか、というのが私の率直な疑問であり、それこそがこの本が積み残した課題であると思う。
騎士道の精神をすぐれて日本的に実践した少年たちとして世界に知られる
「白虎隊の少年達は飯盛山で自決した。」というイメージしかもっていなかったのですが、実際は
「16~17歳の少年達305人による六隊の総称」
だったということに驚きました。
少年達の活躍のほかに
「砲術師範の娘 山本八重の指揮による反撃で、新政府軍先鋒が退却」
といった、会津城下での戦いの様子が細かく紹介されています。
飯盛山の山中で一人遅れて迷った隊士が、山の中で飼い犬に出会い涙する場面には、いっしょに泣いてしまいました。
140センチもない身長で出撃する勇敢な様子を
「とても感心せり。々々々々。実に涙の出るぞかし」
元会津藩士が後に何度も語った。
とあります。
実際、隊士達の健気で果敢な様が資料をもとに描かれているので、何回も涙しました。
戦前の様子や戦後の話など、小説としては書かれていませんが、まるで小説のように引き込まれて読みました。
とても読み応えのある本でした。
白虎隊の間違った常識を正す
白虎隊について我々が知っている知識はどの程度であろうか? せいぜい戊辰戦争で会津藩が敗れた時、藩に殉じて全員が飯盛山で自決したという程度であろう。本書で著者は史実を踏まえてそういう間違った常識を正そうとしている。例えば、白虎隊が身分によって士中、寄合、足軽と三つの隊に別れ、全員では三百人を超えていたこと、武士による士中隊が更に二つの隊に分かれ、飯盛山で自決したのは二番隊の一部である19人に過ぎず、自決しようとしたが生き残った者もいたこと、薩長の支配した明治時代を逞しく生き残り学会やジャーナリズムで活躍した人物もいたこと(例えば東大総長の山川健次郎)など、寡聞にして初めて知ることが多い。著者は鳥羽伏見の戦いから始め、会津藩が次第に反新政府勢力の代表となって戊辰戦争に至らざるを得なかった経緯を含め、白虎隊の戦時の戦いぶりを詳細に辿っている。また飯盛山で自決した少年達が何故自決という行為を行ったかを当時の教育思想および敗退する状況から詳しく分析している。自決した少年達および瀕死で未だ息のある少年から、金品や刀を奪って金にしようとした会津藩の農民がいたことを知るとき、人間の欲の深さに深淵を見る思いがする。何故今でも白虎隊に人々の同情と賞賛が集まるのかを伺い知る良い資料である。
白虎隊について…
私の出身は白虎隊の地元、会津であるにも関わらず、今まで白虎隊について何も知らなかった。学校でも習わないし、第一、先生たちも白虎隊についての理解が足りないために授業で取り上げられなかったのだろう。
学校でも習わなければ、私たち10代の若者たちは白虎隊に関心を持つどころか、白虎隊など知らないで過ごして生きていくのだろう。
私は偶然にも会津出身のためにこのような本を読もうと思い立った。
文章は漢字や難しい漢字が多いため、読みづらい人もいるかもしれないが、分からない言葉を調べながら勉強していけば、より一層歴史についての理解も深まるだろう。
飯盛山の集団自決だけが白虎隊の事実ではない。
この本には、歴史的背景なども貴重な資料として文章に著されていて、歴史大好きな人にはとても興味深い文章ではないかと思った。
しかし、理系の私にとっては難しい単語が所々に見られたために星は4つ。
まぁ、どんな本であっても、難しい単語を調べながら読み進められた時の達成感は言い表せないものであり、それが本を読む楽しみのひとつでもあるのだが。
