- 書名: 二つの山河
- 作者: 中村彰彦
- 出版社: 文藝春秋
- 出版日: 1994-09
- 定価: ¥ 1,325
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レビュー
古き良き日本人の姿
毎年、年が明けたころ、同期入社の友人らと旅行に出る。随分と長い間、大分県の別府市だったが飽きてきたこともあって、ことしは徳島県の鳴門市だった。鯛料理に舌鼓を打ち、鳴門ワカメの美味しい味噌汁に満足しながら、ただの観光で「鳴門市ドイツ館」を訪れた。
第一次大戦中、日本軍が攻略した中国・青島のドイツ兵たちの捕虜収容所が、鳴門にあった。管理に当たった松江豊寿所長(大佐)らが捕虜の人権を尊重し、収容された捕虜たちが商店を経営するなど許される限り自由に過ごしたことが館内で詳しく紹介されており、軽い観光気分が吹っ飛んだ。館内で紹介されていたのが本著であった。
「捕虜収容所」と言うと、とかく暗く重い雰囲気がのしかかる。鳴門にあった収容所の運営方針が全国並みだったとも言えないだろう。しかし、大正時代にあって、負けた人、弱い立場の人を思いやることができた日本人がいたことを、本著で垣間見ることができる。
