- 書名: トリアングル (中公文庫)
- 作者: 俵万智
- 出版社: 中央公論新社
- 出版日: 2006-09
- 定価: ¥ 620
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レビュー
世間が冷淡すぎる
いい私小説である。33−34くらいのライターのヒロインが、25歳くらいの時からつきあっている妻子もちのカメラマン、そして7歳年下の男ともセックスを始めてしまい、結局カメラマンとの関係を重視して若い男とは別れ、独身のままカメラマンの子供を生もうかと決心するという話で、作者の実体験を変形したものだろうし、カメラマンも特定できる。解説の松尾スズキも、実話というふうに読むべきでないというようなことを書いているが、実話ベースに変形したもの、でいいではないか。しかもヒロインの郷里は福井になっているし。素直に私小説として読むべし。ちょっと食事と酒に関する描写が多いのが気になるのと、セックス描写があっさりし過ぎているが、新聞連載だからしょうがないか。この後別に小説を書いていないが、俵万智にはもっと小説を書いてほしいと思う。世間、冷淡すぎる。
随所に短歌がちりばめられ「俵 万智」の小説です
最近「短歌」に興味があり何冊か読んだが、俵 万智さんの作品に共感する物が多く、俵 万智さん本人に興味がわき起こり短歌ではない小説を読む事にした。
そして衝撃を受けた。
小説の内容は妻子ある中年男性と不倫関係を長く続けながら、年下の男性とも関係をもち、結局妻子ある男性と落ち着く…と言うよくありそうな内容で期待以下のもの。
巷に溢れていそうな下世話な話。
ただ短歌は随所にちりばめられているので、そこの部分は短歌に興味がある自分には良かった。
想像以上に性描写も大胆な気がした。
なによりご本人がシングルマザーである事を私は知らなかったので、もうびっくりなのである。それを知った上で小説を読み返すと「実話?」な〜んて思えてきて、そんな事を考える自分がなんと下世話な人間なのかとも思われて悲しい。
年齢よりも考えることが古くさい私には、すぐには受け入れがたいものだけど、「人生いろいろ」それもあり!なのだろう。
ただの恋愛小説ではなく、一つの人生観が見える
2006年11月に黒谷友香主演の『短歌』というタイトルで
映画化された作品。
物語中、結構頻繁に短歌が挿入されている。
まあでも面白さは短歌にあるというより、ストーリーにある。
よほど短歌が好きな人以外には、短歌はスパイスというか付録というか、
そういう役割をするものだろう。
35歳の薫里が主人公。
45歳のMと不倫8年目に入った薫里が、
27歳の圭ちゃんとの交際を始めて…という話。
薫里の友人である美佳との会話や母との会話や本人の心の描写などに、
35歳ならではの様々な思いが描かれる。
特に最後の子供を欲しいのか別に要らないのかといった葛藤は、
何とも言えない魅力を感じる、
そして結論が出ないところもまたこれいいのかもしれない。
物語の展開だけではなく、主人公のものの考え方のようなものにも引き込まれ、
一気に読み終えてしまった。
まあ展開的には普通の恋愛小説といってしまえばそうかもしれないが、
こういうのを読むたびに、
本当にこういう経験をしている人は世の中にどれくらいいるのだろうと、
社会人なりたての28歳の私は思うわけである。
もちろん映画は見たくなるし、
俵万智の他の作品も読んでみたくなるような作品でした。
古典文学のように
短歌が随所にちりばめられ、小説と短歌のバランスが絶妙でした。
このあたりはまるで古典文学のよう。
文章だけでは描ききれない心情が短歌で見事に表現されているんですね。
この作品ではタイトルどおりの三角関係を描いているわけですが
文章の淡白さとはうらはらに
濃密な恋愛感が語られているように思われます。
かなり私小説的な部分もあったのではないでしょうか。
この作品の主人公のような恋愛感を否定する人も多いでしょうが
意外と共感した人も多かったのではないでしょうか?
私は共感したひとりです。
一気に読みました
作者の短歌のファンではあるが、これは小説なので敬遠していた。しかし、読んでみたらこれはビックリ。安定した関係を持っている落ち着いた中年男がいるのに、若い男の子へも好意を抱いてしまう主人公といえば、ありがちなストーリーに見えるが、この二人がどっちも魅力的に描かれていて、話にどんどん引き込まれてしまった。
短歌で養われたのか、生来のものなのか、観察力と表現力が只者ではありません。例えば・・・ 気持ちの移り変わりによって、生理的感覚までが微妙に変化していくあたりの描写が、意地悪くて面白い。また、作中では短歌が上手く生かされていて、主人公の作った短歌で、「浮気」がばれそうになるなど、スリリングな展開に直接結びついたりもする。
さらっと読めたが、大変楽しめました。
