遙かなインパール (新潮文庫)

レビュー

愚かさと偉大さと

 日本軍が行った、もっとも愚劣な作戦である、インパール作戦に従事した「祭」兵団の取材記。武器も食料もなく、疫病と闘いながら、現地の少数民族の助力を受けつつ、最善を尽くしつつ、壊滅してゆくさまが描かれている。
 筆者としては、「にんにく」や「カメレオン」などの「食」や、「靴」に関する記載が特に印象に残っているが、フランクルも言っているように、結局生還を左右したのは、「希望」の有無であった、というのがポイントであろうか。

 ただ、ノン・フィクションという性質のためか、文学作品としては今ひとつの観がなきにしもあらずだが、それは欲張り過ぎというものか。