ヨギガンジーの妖術 (新潮文庫)

レビュー

ちょっとエッチでライトな傑作短編集

 格好良くて間抜けで、その実超絶頭脳の持ち主の亜愛一郎。
 富豪の美貌寡婦、元マジシャン曾我佳城。
 二人の影に隠れていますが、インチキ霊媒師のヨギガンジーもなかなか。
 ストーリーは、小ネタ集とも言える軽いトリックの作品集なのですが、それ故に、ヨギガンジー以下のキャラクターが素晴らしく、ヘビーな推理小説ファンでなくとも楽しめます。
 そして他の二人とは明らかに違うのが、エッチ度と言えましょう。
 氏の文章には独特の艶があって、僅か二〜三行の濡れ場が驚くほど官能的に書けちゃう人なんですが、この作品ではあくまでもコミカルなので、いやらしさが漂ってきません。どちらかというと程良いお色気程度の味付けです。
 とにかく肩の力を抜いて、気楽に読んで欲しい一品。

悪魔の智慧ではなく、人間の方法

◆「ヨギガンジーの予言」

  勝島家の前で行き倒れになっていた老人・車契は、数日置きに、
  三つの予言をし、その度ごとにそれを封筒に入れて手渡し、去っていた。

  のちに開封し、内容を確認すると第一、二の予言は的中。
  第三の予言の実現を恐れた勝島家の人々はこぞって家から避難したのだが……。



  マジックにおける「ワン・アヘッド・システム」(ひとつずらしで後出しをし、いちばん
  最後のものを頭に持ってきて順番を合わせる)が用いられているのですが、
  それに加え、著者オリジナルのトリックが組み込まれているのがミソ。