魔術はささやく (新潮文庫)

レビュー

魔術にささやかれました

文章がうまい、といわれますが、読みやすくする
工夫のためか、登場人物それぞれの台詞が現実に
ありえないような、芝居がかったものでいかにも虚構然と
していました。

連続殺人の動機や手段もファンタジックなものでした。

高校生が主人公ですが、親や弁護士など周囲の大人に
相談せず事態を解決しようとするのは不思議でした。

しかし、そういった些細な点は置いておいて、
最後まで一気に読むことができたので、著者の
魔術にかかってしまったのでしょう。

鍵破りの話は知識として面白く読めました。

宮部みゆきの魔術が分かるかも!

先日、彼女の『パーフェクトブルー』を読んだばかりなのだけれど、そのときアマゾンレビューに、この小説(パーフェクトブルー)には欠点があるのだが、それは『魔術はささやく』で乗り越えられている。ということを書いている人がいた。

パーフェクトブルーの欠点というものを気づかなかったのだけれど、そんなにスゴイなら読んでみようと思って読んだ次第なのだ。
相も変わらずパーフェクトブルーの欠点は分からないが、『魔術はささやく』の完成度の高さはよく分かった!

面白い小説というものは不思議なものだ。
なぜ普通の高校生の守が事件の真相に迫っていくのか、ちょっと不自然なはずなのに、読者でいる限り、その不自然さを感じない。守と一緒になって真相を知ろうと読み進める。
友だちに被害が及んだことを機に逆に脅しをかけるくらいの度胸があるのに、なぜ守が三浦にいじめられているのか、ちょっと不自然なはずなのに、読者でいる限り、その不自然さを感じない。守と一緒になって、次は許さないと読み進める。
などといった不自然さはこれ以外にもあるのだけれど、まだ読んでいない人のためにここでは書かないが、その不自然さをちっとも感じないように読み進んでいく。

これこそ、宮部みゆきの『魔術』なのかもしれない。 まさしく、魔術はささやいたのだった!

斬新な構成と人間くさい結末

 最初の百ページくらいはやや退屈ですが、「指輪」が登場すると一気に物語が加速します。例によって、都合の良過ぎる設定が物語を支配しますが、従来になかったような構成は斬新です。
 マッド・サイエンティストとも言える原沢老人を、ある種の神のように位置付け、最後に主人公の日下少年に決断を迫ります。本格ミステリーとして、理詰めで書き進めながらも、最後は「オリエント急行…」を思わせるような人間くさい終結を迎えます。
 長編でありながら比較的コンパクトにまとまっていて、とりあえず宮部作品の何たるかを知るには、格好の1冊と思われます。

最高級の完成度

 かなりの衝撃を受けました。物語が完璧すぎます。
普通のミステリーでは見られないほどにこと細かく巧みな人物描写。
無駄がなく、(大げさですが)1ページも飛ばし読みができないほどの構成。
日本サスペンス大賞を受賞したらしいのですが、
この作品、同賞の受賞作品の中では最もすぐれているのではないでしょうか。
最後も、(いい意味で)驚愕でした。
著者に脱帽です。頭が上がりません。

お勧めの一冊

20年前くらいに流行っていた?サブリミナル効果や催眠術を使っていろいろ騒動が起きます。殺された女性も、当時、流行っていた?恋愛クラブみたいなことで男性を騙していた輩。主人公の高校生の生い立ちや事件に関係する中年男性との関係がラストで明らかになってくるので、いっきに読み終えたくなります。