- 書名: ポラーノの広場 (新潮文庫)
- 作者: 宮沢賢治
- 出版社: 新潮社
- 出版日: 1995-01
- 定価: ¥ 620
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レビュー
全部の作品が心に沁みます
自分は、いつもながらに思います「何故、宮沢賢治が過小評価されているのか?」と。彼は短命でしたが自分で自分の命を絶つような愚かなことは全く考えもしませんでした。思春期には、自分も含めて、ちょっと死ぬことが、かっこ良いかな?などと思うこともあるかもしれません。でも、ほとんどの人達は、そんな甘い頃のことを忘れて一生懸命に働いて子孫を残して一生を終えます。彼は、あまりにも純白過ぎて子孫を残さなかったけれども、自分の知っている限り、その生涯と、その作品は、どの人よりも切実なものであったと思います。そして、その気持ちは自分にも届いています(しかしながら彼のように菜食主義で、酒も飲まないなんて生活は全く不可能で、自分は、いつも動物の旨みや酒の幻惑に犯されています)。やっぱり日本の文学は最終的には学歴なのかな?と思わざるには思えません。
この作品には陰ながら「銀河鉄道の夜(第3稿)」が収録されています。自分を含めて多くの人が知っている「銀河鉄道の夜」は最終形態であるらしいです。第3稿には最終稿には姿を消していた「ブルカニロ博士」の「カムパネルラ」への、ありがたい、お言葉があります。それだけでも、この本は本当に「金剛石」のように貴重な本であると思います
読んでください。
新潮文庫から出ているほかの童話集3冊を読まれた人、あるいは賢治の世界が好きであるといった人に特にお勧めしたい本です。「ペンネンネンネンネン・ネネムの伝記」読み終わった後、悩みました。なぜ悩んだかというと何を言わんとしているのかがよくわからなかったのです。駄作という意味ではありません。まったくの空想世界を舞台にしているせいもあるでしょうがなぜ人間の世界に出現すると罪になるのか、とか化け物世界の飢饉って何を意味するのか、とか疑問がたくさんわいてきます。おそらく賢治童話の研究家のあいだでも大変注目されている童話と思いますが(グスコーブドリの伝記の前作という意味でも)どなたか「私はこう思う」という方がいればぜひレビューに書いていただきたいと思います。
「ポラーノの広場」この童話集の中ではこの話が一番好きです。ポラーノの広場というのは理想郷を意味しているのだと思いますが、それがはるかかなたにあるのではなく近所の野原にある、という設定がとてもいい。「幸せは自分のそばにあるんだよ」といった作者のメッセージが聞こえるようです。広場を探す不幸せな子供たちやイーハトーブ、はては資本家の山猫博士に対してまでにも作者の愛情が感じられて大変いい作品なのに「銀河鉄道の夜」とかほどメジャーでないのが残念です。読んでください。
