ぼくは勉強ができない (新潮文庫)

レビュー

巧みに読者の反感を買う主人公

ある観点からの、青春の1ページであり、大変面白い内容です。
その観点は、少し偏っていて、極論すると、色恋は勉強に優越すると受け取れます。
勉強が出来ないとされる主人公の生き様ですが、しかし、女性に裏切られたりして、我に返ったりします。

ただ、この主人公、物事を斜めに観過ぎています。
何かに真剣に取り組むのは馬鹿らしい、といった考えも持っています。

級友が政治家になりたいと言い出した時、からかわれて、話がそれて、アパートの隣人の情交に行き着いたりします。
たとえ無理であっても、それを目指して完全燃焼する事で、得られる事は多いはずです。
しかし、この作品の雰囲気は、そんな真摯な態度とはほど遠いです。

よくぞこの作品に、こういうタイトルを付けたと思います。
勉強が出来ないのではなく、しないと言った方が当たっています。
しかし、「ぼくは勉強ができる」の章では、主人公は最後に、ある決意を示すのですが。

しかし、考えてみると、この作品は、よく出来ています。
もしこの主人公が、志が高くて、真面目で堅実な学生だとすると、そんな小説が面白いでしょうか?
主人公の考えや行動は、巧みに読者の反感を買いながら、物語は読者を吸い込んでゆきます。
反感ばかりではなく、まだら的にではありますが、魅力的な共感も感じられます。

堪能させてもらいました。

本が嫌いな若者の入門にはいいのでは?

高1の頃はじめて読んでとても衝撃でした。
それまで読書などまったくせず読書感想文はあらすじを書くような子供でしたが、こんな本があるのかとびっくりし本が好きになりました。

でも30歳になった今読むと、少々誘導的というかかっこつけすぎって感じですね。
生き方の美学みたいなものを限定しすぎている気がします。
うーん、うまく言えないけど・・・。

でも、本に堅苦しいイメージを持っている学生さんなんかが読むのにはおススメだと思います。

考えさせられる一作☆

高校の時から、なぜ周りは当たり前のように勉強をしているのか疑問を抱く主人公が、逆に今読むと立派に写る。あたり前のように無意識にやってきていたり、世間の物差しだけで生きていることは世の中にたくさんあるのかもしれない。世間の価値観が、自分の価値観ではない。そんな生意気で、でも自分を持っている主人公には共感、そしてやっぱりかっこいい☆

友人に勧められて

好きな人と嫌いな人がはっきり分かれそうな作品。
私は,山田さんの本は初読です。

「ぼくらの7日間戦争」系を好きな人は好きなのかな?
ちょっと,主人公の筋を通し方が好きになれない。

なんでだろう?
ニュートラルなキャラクターのようで,実は一番
ニュートラルじゃないというか。。

そんな気がします。

嫌悪感

勉強よりも大切なものを見出そうとする主人公。

確かに勉強以外にも大切なことはあると思いますが、勉強の方がより重要なのではないでしょうか。


勉強の出来る人間が勉強以外にも大切な何者かを説くのは説得力がありますが、勉強のできない人間が勉強以外のものに重要性を見出そうとするのは「逃げ」なのではないでしょうか。



主人公は努力などに対して斜に構え、嘲笑することで自己の存在を確認しているように感じ取られます。選民意識を持っているだけで、型にはまれない人間には独創性や個性といったものは生まれてこないと思われます。


自分から「逃げ」を選択し、色恋にうつつを抜かして何もしない人間は薄っぺらいです。薄っぺらい人間から発言される言葉は、更に薄っぺらく感じます。