真説「日本武将列伝」 (小学館文庫 (い1-22))

レビュー

読みやすい

題名のまんまだが、日本の歴史に出てくる武将を紹介した本です。
武将1人当たり5ページで紹介されていて、武田信玄や織田信長といった有名人だけでなく、古田織部や蠣崎慶廣のような”武将ファン”以外はそんなに知らない人物が紹介されているのはいいですね。また一つ勉強になりました。
それと、井沢元彦さんの本は全般的に文章が上手いから、すごく読みやすいです。

井沢史観の入門書としては面白いけど、構成は問題では?

戦国時代〜明治維新までの「武将」を各人物4〜5ページくらいでまとめた本。井沢元彦氏の
歴史観に触れるのには、各人物の記述が手頃な長さなので、とても読みやすいものとなって
います。

有名人にばかり目を向けるのではなく、最上義光や蠣崎慶廣など、どちらかと言えば一般
的にはあまり有名で無い人物にスポットライトを当てているのも面白い。

ただ、(異なる雑誌の連載物を、それぞれまとめた関係上、仕方ないと思いますが)角川から
出ている「英傑の日本史」シリーズと内容的にはかなりかぶります。「英傑」が幕末とか、
源平争乱とか、きちんと時代を区切っているのにたいして本シリーズは対象が広すぎるため
全ての重要人物を網羅出来ず、人物の選び方に一貫性がありません。

坂本龍馬を武将と括るのは非常に抵抗があるし、幕末の武将であれば何故西郷隆盛は載って
いないのか?基本的に井沢氏のファンですから、書いてある内容については全く問題がない
のですが、どういう基準で人物をピックアップしているのか分からず、そういった意味では
同じ路線であれば、もっと絞り込んでいる「英傑−」の方が読みやすいのでは、と思います。

人が歴史を動かしたことを実感でき、日本史への格好の入門書となる列伝

本書は「週刊 名城をゆく」連載の「井沢元彦の武将列伝」を単行本化した「検証 もうひとつの武将列伝」に加筆して文庫本としたもの。あとがきの日付は05年4月21日。平均5頁の列伝が全部で62。戦国時代初期の北条早雲から幕末の高杉晋作まで扱っているが、4分の3は戦国〜江戸時代初期の人。うち、信長・家康にはそれぞれ2篇、秀吉には3編割り当てている。逆に森蘭丸兄弟、立花夫妻(本書で伝をたてて採り上げられた唯一の女性)のように複数人を1列伝にまとめた例も若干ある。内容に関しては、最近の「戦国時代の大誤解」で紹介されている人物(北条早雲、斎藤道三等)については通説とは異なる新説を紹介しており、両書の間に大きな齟齬がある訳ではないが、少し異なる部分もある。完全に本書の記載が「真説」とは言い切れない部分もあるだろう。井沢氏の「逆説の日本史」シリーズ等の読者には既知の事項も多い。しかし、本書は嘘であろう伝承も交えて歴史を動かした人達のプロフィールを生き生きと簡潔にまとめている。特に東北地方や蝦夷地の武将、琉球の王統、秀吉配下の武将でも生駒親正、石川和正等知る機会の乏しい人達にも光をあてており、教わることが多い。また、有名武将に関しては武田信玄や上杉謙信が長生きしたとして天下をとれなかっただろう理由、対する信長の革新性や宗教戦争を根絶した功績、本能寺の変後に秀吉が織田家を退ける過程こそ彼の天下取りのハイライトである等、日本史のつぼを摘示している。また、直江兼続、島津斉彬を絶賛しており、大河ドラマファンにも納得がゆくだろう。幕末の武将列伝は今後の「逆説の日本史」の予告編とも言える。このように、本書は戦国〜幕末の歴史への格好の入門書だ。なお、平和な江戸時代中期の人で採り上げたのは数人だけ。武将というより文化人である松平不昧が登場するなら、徳川光圀や上杉鷹山も採り上げて欲しかったと思う。