柳生十兵衛死す〈上〉 (小学館文庫―時代・歴史傑作シリーズ)

レビュー

十兵衛三部作

作者が忍法帳モノを書くことを終え、
明治モノ、室町モノへと着手していく中、
唯一十兵衛モノで忍法帳を書いてみたいと思っていた作品。

それが『柳生十兵衛死す』です。
『魔界転生』『柳生忍法帳』の後、相当のブランクを経て、
この作品が生まれました。

この作品でもって三部作とし、十兵衛モノを完結させたいと
思っていた作者が、70歳を越えてようやくの発表できた作品。
山田風太郎氏の執念が垣間見れられます。

確かに忍法帳全盛期と比べれば、エロスが足りなかったり、
どこかしら淡白な印象もあることにはあるのですが、
能を通じて室町時代と江戸時代を時間移動するという発想は
やはり常人ではなかなか思いつきません。

最後はしっかりと、
十兵衛三部作を見事に締めくくった終わり方をします。
『魔界転生』『柳生忍法帳』を読まれた方は、
是非読んでもらいたい作品です。

物足りない

他の風太郎作品(忍法帖など)に比べてなにか足りない。
妖しまでの匂い立つようなエロティシズムであると思う。