逆説の日本史 14 近世爛熟編文治政治と忠臣蔵の謎

レビュー

ちょっと読みづらいです

忠臣蔵と赤穂事件の虚構、そして徳川綱吉の武断から文治政治への転換について書かれています。
毎回、違った視点で歴史をみれるので楽しみに読んでいます。

内容の真偽の程は別として、この巻は、全体的に読みづらい感じを受けました。
主張を強調したいがために、説明がくどくなっているのかもしれません。

もうちょっと内容を整理してもらうとうれしいのですが。

真実と常識の乖離

シリーズ14巻は、「忠臣蔵」です。世の中でこれほど史実と異なる内容で後生に伝わってしまった物語はない、と著者は切り込みます。
そもそも仇討ちと言う概念すら当てはまらないのが、浅野内匠頭による刃傷沙汰だと言うことが本書を読んで初めて知りました。
じゃぁ、あの討ち入りはなんだったのかと言えば、「主人がやり残したこと(吉良上野介を殺すこと)をそのままにしていては、主人が心残りだろう」というだけのことです。

こんな理由で討ち入りをして、それがダサイと思われるどころか、「英雄扱い」されてしまっていたのですね。

これ以外に、竹島問題についても歴史上の真実がなんだったのかを丁寧に解説しています。

忠臣蔵の話だったはずなのに

 忠臣蔵の謎、と銘打ちながらも今回は赤穂事件の謎解きになってしまい、「忠臣蔵がなぜ、あのようなお話になったか」という読み解きが乏しくちと残念。なので、こちらと併せて、新潮文庫から刊行されている同じく井沢氏の小説「忠臣蔵 元禄十五年の反逆」をお読みなられることをオススメします。
 本書の前半と前回の13巻では、綱吉名君説を展開され、それはそれなりに納得の行くものですが、小説の方では、当時の庶民からは綱吉は非常に毛嫌いされており、それを暗にほのめかす為に忠臣蔵という作品が描かれたのではないかとの自説を展開されています。

偏見過多

 綱吉下の歴史、忠臣蔵と日本の商業史、沖縄の薩摩支配の歴史が今回の内容。忠臣蔵の話は中々詳しく描かれ、客観的な視点でよいと思われる。また、日本歴史では兎角軽視されがちな商業史も充実。この頃の商業は今の財閥系の百貨店、銀行の元となっているので見直に感じる話題でもある。
 ただし、本書は「逆説」シリーズの中で最も偏見が多い。忠臣蔵の浅野は統合失調症では、としているが伊澤氏の指摘する内容だけではとても断言できずまたこの疾患に対する配慮のなさも感じた。そして朝鮮非難。伊澤氏の社民党、挑戦嫌いは本シリーズでも度々出ているが、今回のはちょっとひどすぎる。江戸時代の話なのにここまで執拗に嫌韓話をするのは脱線しすぎだし、押し付けがましい。
 一応作家なのだから、もう少し配慮をして文書を書いてほしい。
 

徳川綱吉の奇跡

徳川綱吉は日本史上有数の政治家であることが書かれている。
戦争も宗教の力も使わずに、武断政治から文治政治に転換させ、戦国の気風残る日本に真の平和をもたらした。
経済政策も適切で、経済的繁栄の上に元禄文化が花開いた。
徳川綱吉は暗君だと思っていたが、認識を改めさせられた。