- 書名: 初恋温泉
- 作者: 吉田修一
- 出版社: 集英社
- 出版日: 2006-06
- 定価: ¥ 1,365
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レビュー
恋人との関係をしみじみと想うときに読むといい1冊かな?
温泉を訪れるカップルの短編5を収録。わが家の近所にも温泉があるが、すれちがう湯上りのカップルの表情は、何かホッとしているというか、満ち足りているというか、無防備というか、とてもすっきりとした表情をしている。
「初恋温泉」にも様々なカップルが登場するが、どの主人公も、温泉にきて心が解放されるのか、素直に自分と彼女との関係を見つめなおす。過去の様々な場面が去来する。何もかも順調な筈なのに離婚を言い出した妻、しゃべり過ぎる2人が温泉で静寂を体験、不倫の終末、保険外交員の妻とのすれ違い、高校生カップルの初めての温泉旅行。どの話もしっとりとした良さがある。
個人的には、彼女にいいところを見せようと遮二無二頑張って都心に次々にダイニング・レストランをオープンさせたのに彼女の心が離れていってしまうタイトルにもなった「初恋温泉」が良かった。彼女の「幸せなときだけをいくらつないでも幸せとは限らない」との言葉が心に沁みる。この1話だけでも本を買う価値があるかな。
あなたは、どんなときに温泉に行きますか?
各地の温泉を題材に、男女の恋愛模様を描いている。
温泉に行くとき、大抵、癒されようとしている。
沸き立つような好奇心を抱いて行くことは、ほとんどない。
だから、そこでの会話や、情景の捉え方は穏やかなものになる。
でも、だから、思う。
疲れている関係、下降気味の関係の時、温泉に行って回復を求めるのは、難しいのではないだろうか。
流れを止めることはできない。その流れを穏やかなものにしたいのであれば、温泉宿というものの効力は大きい。
温泉は、健全なときに行ってこそ、醍醐味がある。きっと。
30代、40代は共感?男と女の物語。
幸せなときだけをいくらつないでも、幸せとは限らないのよ。
なるほどなあ〜と思った作中の一文であります。
う〜ん・・・
全部で五話あるのだが、どれもラストは余韻を残し読者の想像に任せるところがあります。
これは好みの問題なのでしょうが、私はあまり好きではないかな。
もうちょっと寓意がはっきり読みとれるものの方が好きです。
でも、芥川賞受賞作家の作品とあって、文学好きにはいいのかもしれません。
なんか、辛い。
温泉旅行。
離婚や不倫、婚前、高校生のデート等で訪れる温泉地。
それぞれの想いをこの旅行でどう昇華させるのだろう?
最後まで読んでも
その部分が曖昧で、
なんだか、後は自分で想像してくれと放り出された気分。
なんだか後ろめたく
苦しく辛い話が多かったな。
これが吉田さんの持ち味といえばそうなのかもしれないけど、
たまには
からっとした話も読んでみたいと思う。
