- 書名: 天皇の料理番 (集英社文庫 111-C)
- 作者: 杉森久英
- 出版社: 集英社
- 出版日: 1982-01
- 定価: ¥ 800
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レビュー
痛快! 料理活劇もの!
確か、かなり昔に本書と同じ『天皇の料理番』というドラマがありましたが(堺正章主演)、当時子供ながら感銘を受けたドラマで、その原作と思い読みました。
伝記ものなのでもっと固っ苦しいかと思いましたが、文体も軽やかで本当に楽しみながら読むことができました。
思わず「ぷっ」と吹き出してしまうシーンも多く、田舎においてきた嫁がいきなり上京し、その夜にがっつくシーンなど、にやにやしてしまうエピソードもあり、主人公の生き生きした人生を知ることができます。
これぞ、冒険活劇ならぬ、料理活劇って感じですね。
皿洗い時代に、職人というか料理人の厳しい世界というか、ヘマをするとぼこぼこにされるあたり、上下関係がはっきりした古い日本がここにはあり、己の道を情熱を持ってまっすぐ進む素晴らしさを教えてくれる本だと思います。
西洋料理とは
1979年に読売新聞社から出た単行本の文庫化。
著者は小説よりの伝記ものを得意とする作家。本書で取り上げられているのは、「天皇のコック長」と知られた秋山徳蔵。しかし、作中では名前が「秋沢篤蔵」となっているように、かなりフィクション色が強くなっている。
福井での少年時代、料理との出会い、上京、最初の職場、フランス渡航を決心するまで、ヨーロッパでの生活、帰国して宮内省に勤めたこと、皇室の人々とのエピソードなどが軽快な筆致で描かれている。秋沢のあくの強い性格が生き生きとしていて、楽しい一冊だった。
小説としてはなかなかのもの。ただ、私は皇室の料理について知りたくて読んだのだが、その点ではあまり得るものはなかった。

