ランドマーク (講談社文庫)

レビュー

「不安定な高層スパイラルビル」と「芯のない都会の生活」

大宮で建築中の高層スパイラルビル。積木を螺旋状に積上げた構造ゆえ、建物の全加重を受ける中央の梁に少しでも施工ミスがあればビルは崩壊してしまう。物語は、ビルを設計し現場で指揮する建築家と鉄骨工として働く若者2人を主人公として展開する。

都会ではあるが東京に人を惹きつけられてしまう『顔のない街』大宮。九州から上京して鉄筋工として働く隼人は、東北人ばかりの下請け会社でなんとなく仲間に溶け込めない。建築家の隼人は、建築には情熱を感じているが、夫婦の絆は希薄で愛人との関係も形式ばっている。

都会の孤独の中で『芯のない人生』は、不安定なスパイラルビルのように簡単に崩壊する危険性を持っている。鉄筋工の「俺が急にいなくなっても誰も気がつかない。俺が建てたビルだけがそこにポツンと残る」という言葉が心に滲みる。

鉄筋工は人生の決断をするが、建築家はポツンと取り残される。建築家の描かれ方にもの足りなさを感じる。吉田修一の小説は風景描写が魅力的なのだが、さすが大宮には魅力が何もない。パークライフ、パレード、東京湾景などに比べつまらなかったので2つ星としました。建築が好きな人には面白いかもしれない。

悲劇がカウントダウン

家族持ちの都会出身の建築家と、独身で地方出身の鉄筋工

二人の関わる、大宮のランドマークビルの建設

小さな捻れの積み重ねが、不安感を呼び、

悲劇がカウントダウンされていく・・・

うーん。

あんまり気持ちのいい本ではないです。

後味良くない。

ちなみに、ランドマークとは、

ある特定地域の景観を特徴づける目印。

山や高層建築物など、視覚的に目立つもの。

という、意味だそうです。

建築物がイメージしづらい

 登場人物の多さに辟易しながら読み進めていくうちに設計士の犬飼と作業員の隼人が並行して語られるようになります。
そしてこの2人どこで交差するのだろう、どの部分で収斂していくのだろうと楽しみにしながら読み進めます。
しかーし、この2人の接点は私の理解した範囲では佐田良治という作業員とO-miyaスパイラルという建築物だけです。
そしてその建築物の説明が素人には理解し難いところが残念で、だからこの小説はあまりピンときませんでした。

筆力で読ませるけど、ストーリーは・・・。

なんというか・・・話は薄っぺらい感じがしないでもないのに
そう感じさせないのが、この人の筆力だなって思う。

最後に自殺しちゃうひとがいるんだけど
「あ、あの人でしょ」って思ってる人とは、まったく違うひとで
え?なんで??
自殺しちゃう人って、実はこうなのかしら。

この人の持つ、文章の情緒とかは、相変わらずで美しいなって思うし
スラスラ読めるけど

村上龍氏が、この本に寄せた
「倒壊の陰にある希望、裏切りと同意語の救済。閉塞と共存する解放、虚構に身を隠す現実。」

はああ。まったく意味わかりません。外国語のようです。
そんな大袈裟なものなのか。

薄っぺらいと感じたわたしが、まだまだなのか。

不安…

全編を通して、ずっと不安を感じながら読んだ。とくになにが起こるわけでもない、ただ先の見えない日常が、やがて…。