天池

レビュー

心の中の湖

 本書は、群馬県から日光に抜ける山中の国道沿いに実在する湖をモデルにされた作品で、その真ん丸ではなく歪に捩れた湖を通して、人間の内面や世界の真実が描かれた作品です。日野氏の最後の長編作品です。

読んで思うことは、氏のエクリチュールがかなり熟成されており、極まった魅力を堪能出来ることです。秋の光または闇に照らされた、湖あるいは山道の情景がありありと思い浮かび、様々な色彩描写で、四季の際立った国である日本の情緒を再確認させてくれます。

湖の水面に写ったひび割れた月光の描写や、稲妻のシーンがやはり強く印象的ですが、本書においては、その山場である稲妻のシーンの後の、「Z 光る闇」と「Epilogue」における描写で、何か包み込まれるような感覚になり、この作品を執筆中に二度手術したという日野氏自身の云われも無い優しさに触れることが出来、本質的には、そこにこそ強く感動しました。

これは、『東京タワーが救いだった』(『断崖の年』収録)というエッセイの中で、「世界(悪性細胞をも含めて)に対して優しく全体的であることを、詩的というのだなと思い、もし無事手術を終えて生きのびられたら、自分もそのような文章を書きたい、ととても素直にそう思った。これまではほんの一部のごく例外的な作品を除いて、そうでなかったと。」と氏は書かれていますが、その具体的な実行が本書なのだと思いました。

何はともあれ、日野文学の集大成的作品であり、傑作です。人間や世界の闇や虚無や廃墟を認識しつつも、最後には優しさを忘れないように生きていこう、そんなことを感じさせてくれました。
日野さん、あなたの魂は私の中で常に生き続け、多大なる恩恵を被ってています。真実感謝します。有難う。

生きることの意味は

東京からさほど遠くないが、あまり人の来ない山奥のæ¹-。そのç•"にæ-§å®¶ãŒã‚り、引退ã-た老父とï¼"人姉妹、それに次女の夫が住ã‚"で宿屋ã‚'å-¶ã‚"でいる。きっぷの良い次女が女将とã-て切り盛りã-、物静かな夫がシェフã‚'ã-ている。何か影のある長女はいつも引きã"もっていて、高校ç"Ÿã®ä¸‰å¥³ã¯å¤§äººã³ã¦ããŸã®ã«ã€å­ä¾›æ‰±ã„されている。ある晩風変わりなç"·ã€è‹¥ã„ç"·å¥³ã€è¿'所の国語教師とその友人のæ-°èžç¤¾å"¡ãŒå®¢ã¨ã-て泊まり、å...¨å"¡ã®äººç"ŸãŒä»Šã¾ã§ã®å¹³ç©ã‹ã‚‰ã¯é•ったæ-¹å'へと動き出す。

åŒ-学反応が起きるようにおäº'いに影響されあい、登å '人物のそれぞれが自己ã‚'見つめなおす作業に否応なã-に巻き込まれていきます。封印ã-ていても、漏れてくる過去のå'ªç¸›ã€‚それã‚'解くには、自分と真正面からå'き合うã-かない、つまり自å!ˆ†!!のç"Ÿã®æ„å'³ã‚'どã"までも考え抜くã"とだ、そã‚"なメッセージã‚'å-ã'å-りまã-た。

æ-¥é‡Žæ°ãŒç™Œæ‰‹è¡"にå'かう前に遺稿とã-て残ã-た前半と、手è¡"から回復ã-て書き上ã'た後半からなっていますが、å...¨ç·¨é€šã-て説明の付かない力に突き動かされたような筆è‡'にゾクゾクã-てã-まいます。特に、雷雨のシーンが圧巻です。時é-"や地球といった大いなるものとのé-¢ä¿‚の中で、人がç"Ÿãã‚‹æ„å'³ã‚'探り続ã'たæ-¥é‡Žæ°ã®å"²å­¦ãŒå‡ç¸®ã•れた一冊です。