森鴎外の智恵袋 (講談社学術文庫 523)

レビュー

鴎外が自己啓発本を書いていた!

「人との付き合い方」について書かれた森鴎外の書ではあるのだが、実はこの本にはネタ本がある。18世紀のドイツの作家、アドルフ・フォン・クニッゲの『交際法』というのがそれ。ドイツ語を自在に操った鴎外が新聞等に匿名で(無論翻訳であることすら伏せて)発表したモノをまとめたものがこの本だ。
小説家としても軍医(官僚)としても功成り名を遂ぐ鴎外が、どうしてこんな本を書かねばならなかったのか、その辺の推理は本書の解説を一読していただきたい。
いずれにせよ昔も今も、洋の東西を問わず、人間というものは「人付き合い」に悩み続けてきたものなのだなあということがよくわかる。