小川未明童話集 3 (講談社文庫 お 8-3)

レビュー

戦争の影

 1980年に講談社文庫として全3巻で出たもの。
 だいたい時代順に収録されており、3巻では昭和7〜27年の作品が収録されている。
 収められているのは「青空の下の原っぱ」、「風だけが叫ぶ」、「金歯」、「太陽と星の下」など15篇。
 いずれも哀切に満ちたお話で、胸の奥がジーンとしびれてしまう。読んでいると、悲しさ、虚しさ、やるせなさが押し寄せてくる。それでいて、珠のように美しく、たまらない魅力を持った作品ばかりだ。
 童話とはいうけれど、むしろ大人向け。
 一篇一篇をじっくりと味わいながら読んで欲しい。
 ただ、この時期の作品は以前と比べて輝きが薄れているようにも感じる。戦争の影が濃いし、やや散漫な印象を受ける。