英傑の日本史 源平争乱編 (角川文庫 い 13-52)

レビュー

マニア向け?

「逆説の日本史」を読んでいる人から見ると、かなりの部分に焼き直し感を感じるかもしれませんね。実際清盛、頼朝、義経みたいなメインキャラの部分はまんま持ってきたのではという錯覚すら覚えます。本作の真骨頂はニッチキャラ(梶原景時とか平重衝とか)の章にあると思います。擦れからしの歴史好き(わたしもそうですが)には非常に楽しめます。

井沢史観の人物描写

「逆説の日本史」を長期執筆中の著者の人物伝。

特徴としては
・もちろん井沢史観
・1名あたりの記述がシンプル
・知名度という尺度でなく、時代に与えた影響力といった尺度で取りあげられている
といったところでしょうか。

言霊信仰、怨霊信仰、国防論といった点に特徴がある「井沢史観」を受け入れられる方にはお勧め。
特に一人ひとりの記述がシンプルなので、通勤電車の中で読むには非常に良い読み物でした。
歴史好きな私でも4割くらいは「どんな人だったっけ?」の人が登場しますので、それほど歴史に興味がない方にはより新しい発見がある本かもしれません。

源平争乱は貴族と武士の土地所有権を巡る争い

後白河法皇を日本株式会社の代表権のある会長

 源頼朝を労組の委員長に例えて

 源平の争乱は貴族階級と武士階級の土地の権利を巡る争いである。

 清盛は武士として始めて政権を握ったが藤原氏のやり方を真似ただけで武士の土地への権利を認めるような政策を採らなかった為に武士の支持を得ることが出来なかった。

 それにしても軍事の秀才義仲はともかく

 軍事の天才義経、政治の天才頼朝、ふたりの兄弟を殺しておけば平家政権ももう少し持ったかも・・・

 秀吉、信玄、殺した政敵の娘に産ませた子供を世継ぎにするとその政権は長続きしない。

 清盛は世継ぎにはしなかったけれど義経の母を常盤を妾にして娘を産ませている。

 女好きでおおらかな清盛だが悪に徹する事ができなかったようだ。

 高倉天皇が崩御した時、後白河の復帰を求めず、自らが関白となり安徳天皇を補佐する体制をとれば・・・

 なかなか読み応えがあって面白かったです。

目から鱗の人間模様

井沢氏独特の人物洞察によって、歴史上の出来事が見事につながります。なるほど納得!の世界です。歴史にIfを持ち込む事の必要性を説く井沢氏の歴史観にも納得させられました。歴史に興味のある方は是非お読みになっては!