- 書名: 英傑の日本史―新撰組・幕末編 (角川文庫)
- 作者: 井沢元彦
- 出版社: 角川書店
- 出版日: 2007-12
- 定価: ¥ 620
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レビュー
時代の転換期には何故か人材が輩出される。
この時代の英雄(ミニ英雄も含めて)や藩(朝廷も含めて)は藩内の主導権を誰が掌握するかで、敵と味方が複雑に交錯しながら立場を変えて入り乱れ登場する。井沢氏の考察でもっともだといつも考えさせられるのは結果から見ている現代人とは違い、未来や時代の流れを読み、大局的に判断して自分を貫いた生き方が出来た人々の傍らにいかに寄り添えるかということだ。結果的には敗者になり死んで逝った者達も自分たちより優等な生き方をしているのではと時々感慨にふける。しかしこの時代のマグマが現在を作った基で、かつ日本という概念が簡単に形成されたのは、個々の人物を見てなるほどなと思った、ヨーロッパですら国民国家を作るのに時間が掛かっているのに。この時代の流れから感じる、もう一つはあと10年は生きていて欲しかったなと思われる人材を余りにも多く失ったということだ。
文庫で短編集なので読みやすく幕末が理解できる
幕末の67人について、それぞれの生い立ちから時代に与えた影響についてコンパクトに
まとめられた短編集。短編なので通勤時の電車の中で何日もかけて読むのにピッタリ。
どこから読んでもよいと思うが、全体を通して幕末の歴史を学べるような工夫がなされて
いるので、最初から順番に通読していくことを勧めます。歴史は時系列に学ぶことが多い
ですが、人物の動きを繋げていくことで時期は前後することになりますが、これが意外と
理解しやすいというのが感動しました。「大攘夷」「小攘夷」の違い、当時の英仏露の
日本へのかかわり方の違いなどは非常に関心を持ちました。
私は「逆説」のアンチな謙虚さのほうが好みですが
書名にある「英傑」っていう言葉、今どきストレートに使われる機会って少ないんじゃないでしょうか。しかも表紙にあしらわれた書名英訳がThe Japanese History of the Geniusなんですね。つまり〈英傑=Genius〉? ウーン…
内容的には、そんなに手の込んだ話ではありません。帯の惹句を引用すれば、「男たちの決断が、幕末の日本を変えた!/激震の時代を動かした英傑67人」。近藤勇・土方歳三・沖田総司・永倉新八…といった新撰組の人々に始まり、幕末の日本に足跡を残した67人を取り上げ、一人ずつ簡単な伝記的事実と著者流のコメントを加えていくという趣向です。単行本は04年11月の刊行。気楽に読んで歴史のトリビアを仕入れるにはいいんじゃないでしょうか。
私も子供の頃、少しは「偉人伝」の類を読みました。子供向けだからイイコトばっかり書いてあったように記憶しますが、それなりにワクワクさせられたのは確かです。あれは、ファンタジー小説を読む愉しみに似ていたかもしれない。関川夏央に『おじさんはなぜ時代小説が好きか』という本もありますけど、過去を舞台にした物語って要するにファンタジーなんですね。だから、「英傑」なんて言葉もストレートに掲げられる。
で、そういうファンタジーの重要性を訴えたのが「新しい歴史教科書」の皆さんで、だから斎藤美奈子さんから「オヤジ慰撫史観」なんて揶揄されるんでしょうね。ま、私としては、大人だって自分の年齢に応じたファンタジーを楽しむ権利くらいあるとは思いますけどね、趣味として。
