甲賀忍法帖 (角川文庫)

レビュー

風太郎未体験の方に、まずおすすめしたい一冊

 特異な技を持った伊賀組、甲賀組それぞれの十人衆が、トーナメント勝負のような死闘を展開していくストーリー。一読、あまりの面白さに呆然とさせられ、しばらくの間、山田風太郎の作品をあれこれと、むさぼるように読んでいきました。
 忍者それぞれの技が、実にユニークで奇奇怪怪、驚きに満ちていること。まるで妖怪変化の如き忍者たちの、尋常でない勝負の行方の意外性。「こいつはやるんじゃないか」と注目していた忍者が、ひとり、またひとりと消えていくスリリングな面白さ。傑作ぞろいの風太郎忍法帖のなかでも、キャラの無類の魅力と、ぎゅっと凝縮された話のスピーディーな展開にわくわくさせられたことでは、これが一番! 続いて、『柳生忍法帖』『柳生十兵衛死す』『魔界転生』あたり、首までずっぽり浸かって読みふけったものでした。これから読む方が、本当にうらやましい。
 本作品をマンガにして描いたせがわまさきの『バジリスク 甲賀忍法帖』(単行本・全5巻)もいいですよ。おすすめ。
 ちなみに、山田風太郎作品のマイ・ベスト5は、『妖異金瓶梅』『甲賀忍法帖』『明治断頭台』『おんな牢秘抄』『夜よりほかに聴くものもなし』。風太郎ワールドのめったくた楽しく、面白きこと哉。読書の至福のひとときに、きっとわくわくさせられますよ。

忍法帖第1弾

山田風太郎忍法帖は現在読んでも色あせていない大傑作シリーズですが、これはその記念すべき第1弾で、映画「SHINOBI」の原作でもあります。
忍法帖シリーズはいろいろなパターンがあるのですが、これは最もオーソドックスなトーナメントパターンです。甲賀、伊賀それぞれ10人の特殊技能を持った忍者が戦い、敗れて勝ち残ったもの同士がさらに戦っていく。スピード感があり、読み出したら止まりません。
最近のつまらないハリウッド映画よりもよっぽど楽しめますよ!

最もキャラが立った作品

他の山田風太郎先生の作品で、こんなに大人数で戦う作品は、名前と忍法だけで、キャラはたっていないが、この甲賀忍法帖は、大半のキャラが立っている。
一人一人の個性が際立ち、それぞれの忍法も『無敵じゃないか』と思えるほど、強そうなのだが、戦う相手が相性が悪く、負ける展開が実に面白い。
主人公、甲賀弦之介が、この忍法合戦を知り、戦う決意を固めるが、愛する朧を討てるのか?
朧が自分を裏切ったのかと悩むシーンが実に読んでいて切なくなります。

『バジリスク』のコミック、アニメを観た方も、是非とも本家本元の『甲賀忍法帖』を読んでほしい。
山田風太郎の文章の美しさ、魅せる文章の力に、のめりこむ事間違いなしです。

見事な騙し合い

この本を読む前、きっとこの本に出てくる忍者たちは
正々堂々な戦いをするんだろうと、何故か思っていました。

読みはじめてみてびっくりしました。
戦い始めから、全ては殺すが勝ちの騙し合い。

きっと読むと惹き込まれると思います。最後まで展開が予想できません。

すごい

面白いのは言うまでもないが、10対10の戦いと初めによんでえ?と思った。つまり少なくとも本書の中には10回以上戦いがあるのである。それどころか、正確に数えていないがおそらく20回以上あったと思われる。普通はそんなに戦闘シーンを盛り込むと絶対に一つ一つが浅くなりつまらなくなるはずだと思ったのだが、そんなものはまったくもってバカな心配であった。一つ一つの戦いが非常に濃くそれでいてまったく飽きない。盛り込まれるエロスもそこらの官能小説よりはるかに濃く、非常に楽しめた。なによりも驚いたのが最初からもう既にあらかたの予想が付くのにもかかわらず、それでも、どうなるの、どうなるのと思わされたことだ。