セロ弾きのゴーシュ (角川文庫)

レビュー

心温まる作品、大好きです

私が一番好きな賢治の作品は、
文句なく「セロ弾きのゴーシュ」です。

なぜなら、
賢治特有の幻想的な世界ではありますが、
人間くさい分かりやすい作品であるからです。
ゴーシュは当初どこか投げやりで、
生活に目標の持てない、
ある意味、身近な若者です。
そこが共感の源なかあと思います。

町外れの水車小屋で、
動物たちとのユーモラスなコミュニケーションの結果、
動物の病気を癒すようなったゴーシュは人間として、そして音楽家として成長します。

青年の孤独の象徴だった水車小屋は、
いつの間にか幸せの場所へと変化します。
ラストシーン、音楽会も成功し、家に戻ったゴーシュの呟きが大好きです。
どんな言葉か知りたい人はぜひご一読を。

『やまなし』

この短編集の2番目に収められている『やまなし』。今のところ、生涯ベストワンの、・・・ 日本語です。
この作品は、今まで数多くの絵本にもなっており、それぞれにこの作品への敬意と愛情が伝わってきます。・・・ ただ、それらを決して否定するわけではないのですが、やっぱり、この言葉だけの『やまなし』が私には一番です。言葉だけで、この静かで、それでいて、生命感溢れ、微笑ましく、懐かしい、光、色、音、そして、匂い。を、感じさせてくれる。連れて行ってくれる。・・・ 最小にして、最高の逸品。