- 書名: あなたと読む恋の歌百首
- 作者: 俵万智
- 出版社: 朝日新聞社
- 出版日: 1997-07
- 定価: ¥ 1,260
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レビュー
万智さんの色が加味されて
古くは明治時代から現代までの和歌を紹介しながら、俵万智のエッセイ風解説を楽しむ趣向の一冊である。
掲出歌はどれも光る作品ばかりだが、万智さんの解説が加味されてもう一段色味が濃くなっている。
恋愛体験のない人がこの一冊を読んでなにかを会得する、ということはまさかないだろう。
恋や愛を、ひととおりやったひとが読み手としてふさわしい。
ひととおりには片思いや失恋も含まれていて、というか、成就しない恋を経験していないのでは恋愛経験者とは言えません。
百も歌が並んでしまうと、マイ・ベストを探してしまうのは情けないことですが、やはりそういう目つきになってしまいますね。
わたくしは古文法を身につけずにここまで来てしまったので、自由律の、三十一文字におさまった普通の短詩風に惹かれてしまう。
一度だけ本当の恋がありまして 南天の実が知っております (山崎方代)
宝石箱のような一冊です。
ちょっと時間があるとき、なんとなく手に取り、ぱらぱらとめくっては楽しんでいます。お気に入りの一首がいくつかあり、ふとしたときに、心に浮かぶようになりました。そして、声に出してよんでみたくなる。舌の上を気持ちよく転がっていくような、リズムのよさは短歌ならではなのでしょう。幸せいっぱいの恋、許されない恋、過ぎ去ってしまった恋。百首のなかには、いろいろな恋愛模様があります。でもすべてに共通するのがピュアな輝きに満ちているということ。人を真剣に愛する気持ちが、ギュっと凝縮され、しずくがぽとりと落ちるように、シンプルな短歌というかたちになったのかなと思わされます。まるで、宝石箱のような一冊です。長い人生のなか、折にふれて読み返せば、きっと違った感想を持てるのではないかと期待しています。
そして、この表紙。清潔なかわいらしさ!いくら眺めていても飽きません。
百通りの恋のかたち
俵 万智が選んだ百首の恋の短歌。俵 万智の解釈と鑑賞を参考に、自分なりの「読み」をしながら、百人の歌人がみせる百通りの恋のかたちに、さまざまな想いをはせる。 五七五七七の定型詩から、これほどの無限の想いが溢れ出てくるものかと圧倒されながら読み進むと、過ぎ去った日々をふと思い出させる歌に出会ってしまう。たとえば春の夕暮れにはこのような歌。 「春芽ふく樹林の枝々くぐりゆきわれは愛する言い訳をせず」 中条ふみ子 「やがて死が堰き隔てむに忘失の刻あり人は生きて別るる」 稲葉京子
