- 書名: 花と龍〈下〉 (岩波現代文庫)
- 作者: 火野葦平
- 出版社: 岩波書店
- 出版日: 2006-03
- 定価: ¥ 1,050
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レビュー
ロマンの一級品
上下巻を読了した。わくわくするような面白さで、一ページたりとも退屈させられることがなかった。
私も炭鉱町で育ったので、特に石炭に関わる情景には懐かしい思いがこみ上げて来た。
戦後ではあるが、私たちの町にも似たような働く男たちがいて、そしておそらく、規模は小さいながらも、似たような「喧嘩」もあっただろう。
それにしても、当時の男たち、女たちは、なんと生き生きと時代と立ち向かっていたことか。
すべてを時間が流し去って、今は私の故郷にその面影は残っていない。それは作品の舞台である若松でもそうかもしれない。
この作品は、かつて争いながらも真っ黒になって働いた男たちの記念碑でもある。
作者は読者を愉しませる精神に富んでいた。そして、その才能も十分に持っていたのだ。一級品のロマンを堪能した。
