町人貴族 (岩波文庫 赤 512-6)

レビュー

よく出来たお話

ジュールダン氏の娘と恋人クレオントのちょっとしたすれ違いがあった後に、クレオントが使用人のコヴィエルに彼女の悪口を言ってくれと頼み、コヴィエルが彼女の欠点をあげつらっていくと、それこそが魅力だとクレオントが惚れ直すあたりが面白い。その欠点というのは、本当に魅力的な欠点のように見えるのが巧い。

音楽とあわせて読んでください。

もともとこの作品はルイ十四世の前で無礼な態度を取りつづけたトルコの外交官に対し、ささやかながら恨みを晴らすために作られたコメディ・バレで、台本をモリエール、音楽をリュリが受け持って作られた。そのため音楽とあわせて読むと作品が立体的な面白さとなって楽しむことができる。

できることならこの作品を実際の映像で、それこそルイ十四世が楽しんだ当時のスタイルで見てみたい。こういった文化的にも重要な作品がおざなりになっている現状はなんとも悲しい限りである。